住民税はいつ発生する?不動産売却の申告タイミングについても解説

不動産売却

住民税はいつ発生する?不動産売却の申告タイミングについても解説

不動産を売却して利益が出た場合、その金額に応じて住民税が課税されることをご存じでしょうか。
売却益があるときは、所得税だけでなく住民税についても、確定申告が必要になるケースがあります。
そのため、住民税の計算方法や申告時期を事前に把握しておくことで、余計な支出やトラブルを防ぐことができるでしょう。
この記事では、不動産売却による住民税の基礎知識や注意点をわかりやすく解説していきます。

不動産売却時の住民税とは

不動産売却時の住民税とは

不動産を売却すると、その利益に応じて住民税が課されることがあります。
しかし、住民税の仕組みや課税の流れは、一般の方にはわかりにくいものです。
そこで以下では、不動産売却時の住民税について、基礎から詳しく解説いたします。

住民税の仕組み

住民税は、前年の所得を基に都道府県民税と市区町村民税を合わせて課税されます。
課税部分は、所得割と均等割の二本立てです。
さらに、所得割は全国ほぼ一律で、10%です。
また、均等割は一人あたり数千円の定額で、森林環境税などが上乗せされる自治体もあります。
給与所得は、勤務先が天引きする特別徴収ですが、売却益は普通徴収となり納付書で4回払いできます。
くわえて、普通徴収なら会社に知られず自分で納税できる点が特徴です。
住民税の通知書には、内訳が詳しく記載されるため、まずは前年分と見比べると増減の理由がつかめます。

不動産売却益に課税される仕組み

譲渡所得は、「売却価格-取得費-譲渡費用」で求めます。
取得費には、購入代金や仲介手数料、登記費用などが含まれます。
譲渡費用に該当するのは、仲介手数料や広告費です。
上記の計算式の譲渡所得が正の場合にだけ課税され、所有期間により下記のように税率が変わります。

●短期(保有5年以下):住民税率9%
●長期(保有5年超):住民税率5%


所有期間は、譲渡年の1月1日時点で判定されます。
くわえて、自宅を売った場合は3,000万円特別控除が使え、譲渡所得が3,000万円以内なら課税されません。
特例を使うには、自宅利用と親族へ売却しないことなどの要件を満たす必要があります。
たとえば、2020年4月に購入し2025年3月に売却した場合でも、判定日は2025年1月1日で4年9か月の保有となるため、短期譲渡に区分されます。
なお、短期と長期では所得税率も異なるため、住民税だけでなくトータルの手取り額に大きな差が生じる点に注意しましょう。

売却により住民税が発生するケース

住民税がかかるのは、譲渡所得がプラスになった場合です。
取得費や譲渡費用が高く赤字になると、住民税は課税されません。
そのため、自宅に適用できる3,000万円控除や相続税の取得費加算を使えば、課税額を大幅に抑えられます。
ただし、同一特例は3年間にわたり重複使用できません。
また、適用可否は売却前に税理士へ確認すると安心です。
さらに、控除適用後でも譲渡所得が残れば課税対象になるため、試算時は各特例を差し引いた最終的な金額を確認します。
なお、税務署へ事前相談をしておくと、必要書類の準備漏れを防げるだけでなく、手続きに要する日数も把握できます。

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不動産の譲渡所得の申告時期とは?いつ申告するべき

不動産の譲渡所得の申告時期とは?いつ申告するべき

不動産の売却をおこなった場合、住民税の申告や納付のタイミングについて理解しておくことが重要です。
とくに、利益が出た場合には、確定申告と連動して課税がおこなわれるため、申告の時期を逃さないことが大切です。
以下では、不動産売却時に必要な申告のタイミングと住民税が増える時期について詳しく解説いたします。

申告が必要となるタイミングはいつ?

申告が必要となるのは、譲渡所得が発生した年の翌年に確定申告が必要です。
例えば、2024年内に売却した場合、2025年2月16日から3月15日までに申告します。
また、延滞すると加算税の対象になるため、締切厳守が基本です。
さらに、赤字でも損益通算や繰越控除を受けるなら、申告が欠かせません。
くわえて、株式利益などと相殺すれば課税所得を減らせます。
マイナポータル連携に対応したeTaxを利用すれば、給与や保険料情報が自動反映されるため入力負担を減らせます。
なお、紙の申告書を郵送する場合は消印日が提出日となるため、締切日の消印有効か窓口必着かを自治体サイトで確認しましょう。

確定申告と住民税の関係

確定申告で入力した所得情報は、税務署から自治体へ自動連携されます。
そのため、別途住民税の申告をおこなう必要は原則ありません。
また、申告書で普通徴収を選択すれば、売却益分は給与から天引きされず、自分で納付書払いとなります。
会社に売却を知られたくない場合は、普通徴収を選びましょう。
ただし、副業所得が20万円以下で確定申告を省略した場合など、自治体独自の申告が必要になるケースもあるため注意が必要です。
なお、普通徴収への切替は申告書第一表下部の「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄でチェックを入れるだけで済みます。

住民税が課税される時期の流れ

住民税は、前年所得を基に翌年6月から課税が始まります。
売却益が出た年の翌6月に納付書が届き、普通徴収なら以下の4期で納付します。
例として、長期譲渡所得500万円なら税率5%で25万円が追加課税されるのです。
また、均等割5,000円前後も別にかかります。
そのため、納付時期まで資金を確保し、急な負担に備えておくことが大切です。

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住民税の計算方法

住民税の計算方法

不動産の売却で得られた利益には、住民税が課される可能性があります。
しかし、どのようにしてその金額が算出されるのか、計算方法が分かりにくいと感じる方も多いでしょう。
以下では、住民税の計算方法をシミュレーション例や特例制度とともに、分かりやすく解説いたします。

住民税のシミュレーションで事前確認

売却前に、概算税額を把握しておくと資金計画が立てやすくなります。
例えば、取得費2,500万円の物件を3,800万円で売却し、諸費用を300万円とすると譲渡所得は1,000万円です。
また、長期保有なら住民税は5%で50万円程度です。
さらに、インターネットの試算ツールを使えば、数字を入力するだけで目安が分かります。
なお、試算にあたり住民税だけを見てしまいがちですが、社会保険料算定の基礎となるため翌年の保険料にも影響します。

課税対象となる譲渡所得の算出方法

譲渡所得を正確に求めるには、取得費と譲渡費用を漏れなく集計する必要があります。
取得費には、購入価格のほか仲介手数料や登記費用、資本的支出に該当する大規模リフォーム費用が含まれます。
また、建物部分は、減価償却後の残存価格を用いる点に注意してください。
譲渡費用として認められるのは、仲介手数料、契約書の印紙代、測量費、解体費用などです。
なお、これらを正しく引けば課税対象額を最小化できます。
さらに、契約書類を紛失したときは、金融機関や仲介会社に取引履歴を再発行してもらえるか早めに問い合わせましょう。
くわえて、売却のためのリフォーム費用でも、クロス張替えなどの修繕的支出は取得費に算入できない点に注意が必要です。

控除や特例が適用されるケース

代表的な特例は、居住用財産の3,000万円特別控除です。
自宅を売却し所定の要件を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けます。
その結果、住民税と所得税の両方を大幅に軽減できます。
そのほかにも、買換え特例や相続税の取得費加算特例もありますが、適用条件が複雑です。
また、適用可能かどうか早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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まとめ

不動産売却で利益が出た場合、所得税だけでなく住民税の納税義務が発生するため事前の確認が欠かせません。
税額の目安や確定申告との関係、提出時期などを把握しておくことで、スムーズに対応できるようになります。
申告漏れや課税ミスを防ぐためにも、余裕を持って準備を進め、正確な手続きを心がけることが大切です。

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