相続空き家の管理について!放置リスクや解決策も解説

不動産相続

相続空き家の管理について!放置リスクや解決策も解説

相続によって取得した不動産の管理や対応に悩む方も多いのではないでしょうか。
管理を怠ると資産価値が下がるだけでなく、景観悪化や防犯上の問題など、周囲への影響も懸念されます。
だからこそ、トラブルを未然に防ぐためには、適切な管理方法と将来を見据えた活用や処分の計画が欠かせません。
この記事では、相続した空き家に対する管理のポイントや、放置によるリスク、解決策を解説します。

相続した空き家の管理方法

相続した空き家の管理方法

管理方法が分からないという理由で放置されがちですが、空き家は人の気配が途絶えることで想像以上に早く傷みます。
そのため、早期の手入れが近隣トラブルを防ぎ、資産価値を守る鍵となります。
また、将来的な売却や活用を円滑に進めるためにも、計画的な管理が不可欠です。
まずは、換気・通水・清掃という基本の作業を押さえ、定期訪問のスケジュールを決めましょう。

換気は湿気やカビの発生を防ぐ基本的な作業

家が傷むのは、湿気が引き起こす木材の腐食やカビの発生が主な原因です。
特に水まわりに生える黒カビは、建材などの処分費用を増加させる原因にもなります。
過去には、5年間放置された木造家屋の床が腐り、修繕に300万円以上かかったケースも報告されています。
月1回を目安にすべての窓とドアを開け、晴天時に日光と風を通すと効果的です。
というもの、日射しによる乾燥は殺菌効果も期待でき、においのこもりも軽減します。
また、風向きを確認し対角線上の窓を開放すると、室内の空気が効率よく入れ替わりやすくなります。
遠方に住んでいる場合は、管理代行サービスや親族に協力を依頼する方法を検討すると良いでしょう。

通水によって水道管の劣化や臭気を防ぐ

長期間使わない空き家では、定期的に水を流す「通水」が水道管のトラブルを防ぎます。
水を流さないと、管の中が乾いてサビや部品の劣化が進み、水漏れのリスクが高まります。
特に寒冷地では、冬場の凍結で水道管が破裂し、修理に数十万円かかることもあるため注意が必要です。
また、排水管に溜まっている水(封水)がなくなると、下水の嫌な臭いが室内に逆流してしまいます。
そのため、月に一度、家中の蛇口をすべて開け、トイレの水も数分間流しましょう。
勢いよく水を流すことで、管の中のサビやゴミを洗い流し、詰まりを防ぐ効果も期待できます。
タンクレストイレがある場合は電源の状態も確認し、作業リストを作って点検日を記録しておくと、忘れずに管理できるのでおすすめです。

定期的な掃除で衛生環境を保つことが大切

埃や汚れは放置すると屋内外に蓄積し、排水口の詰まりや雨漏りを招きます。
実際に、クマネズミが天井裏に巣を作ったケースでは、天井と電線の交換に追加費用を要しました。
玄関やベランダ、雨どいにたまった落ち葉は排水不良を起こし、内装材の腐食やシロアリ被害の一因になることもあります。
定期的な掃除の際に外壁や屋根のひび割れも点検・早期補修すれば、害虫の発生や将来的な修繕費用をまとめて抑えることができます。
さらなる被害を抑止したい方は、必要に応じて害虫駆除剤や防虫ネットを設置すると良いでしょう。

空き家を放置することによるデメリット

空き家を放置することによるデメリット

利用計画もないまま修繕せずに放置すると、固定資産税の負担だけが重くのしかかり、建物のリスクや費用対効果は悪化する一方です。
以下では、主なデメリットを整理します。

倒壊や治安悪化などのリスク

老朽化した空き家は、台風や地震で倒壊する危険があります。
万が一、倒壊して通行人や隣の家に被害が及んだ場合、所有者が責任を問われることになるでしょう。
実際に、倒壊事故の約4割は管理が不十分な空き家で起きているというデータもあります。
また、荒れた家は不審者の侵入や放火、不法投棄の標的になりやすく、地域の治安を悪化させる原因にもなります。
さらに、生い茂った雑草は近隣住民に不安を与え、小さな揺れによる部分的な崩落が道路や電線に被害を及ぼすなど、周囲を巻き込む二次被害にもつながりかねません。

特定空家に指定されると行政指導の対象になる

空き家対策特別措置法では、危険または著しく景観を損ねる空き家を「特定空家」に指定できます。
指定されると修繕や撤去を命じられ、従わなければ行政代執行の費用(100万〜400万円程度)が請求されます。
また、特定空家指定後に撤去命令を受けた福岡市の事例では、代執行費380万円が所有者に請求されました。
さらに住宅用地特例が解除されるため、固定資産税は課税標準が最大6倍、実際の税額も3〜4倍に増える可能性があります。
行政からの勧告や命令を受けると不動産評価額も下がり、売却交渉で不利になる点にも注意が必要です。

所有者責任が問われ、管理不全により損害賠償の恐れも

空き家の所有者は管理義務を負い、屋根瓦落下や倒壊で第三者に損害を与えた場合は民法上の賠償責任が発生します。
また、雨漏りにより隣家へ被害が及び訴訟になる例もあり、相続人が複数の場合は責任分担が複雑になります。
共同相続人の合意形成が遅れ、売却機会を逃した事案も少なくありません。
火災保険に加入していないと巨額の自己負担を強いられる恐れがあるため、保険の見直しも検討しましょう。

空き家状態にしないための解決策

空き家状態にしないための解決策

放置は老朽化と固定資産税負担を招くため、具体的な解決策を早期に検討することが大切です。
空き家の立地や建物状態、相続人の意向を整理し、最適な活用・処分方法を選びましょう。
以下では、代表的な方法を紹介します。

利用予定がなければ解体して土地活用を検討

利用予定がない場合は早めに解体し、更地として活用する選択肢があります。
更地にすれば倒壊や害虫リスクが減り、コイン駐車場や貸し菜園、資材置き場などの収益化も容易です。
さらに、国や自治体の解体補助金を利用すれば工事費の1〜5割が補填される場合もあり、該当要件を確認しておくと負担軽減につながります。
住宅用地特例が外れるため固定資産税は実質3〜4倍、都市計画税は最大3倍になる可能性があるので事前確認が欠かせません。
また、木造30坪なら解体費は150万〜200万円が目安で、老朽化が進むほど費用は増加します。
工事計画を周知し騒音・粉じん対策を講じれば、近隣トラブルを避け地域の安全確保にも寄与します。

親族などへの譲渡によって維持管理の負担を軽減

親族や知人が利用を希望する場合は、無償または低価格で譲渡して管理負担を減らす方法があります。
ただし、無償譲渡でも契約不適合責任が残るため、譲渡契約書に責任範囲を明文化することが大切です。
贈与税・不動産取得税を確認し、相続人間の合意を得たうえで専門家に相談するとスムーズです。
また、リフォーム費用などの分担を事前に決めておき、専門家立ち合いのもと家屋診断を行うことで、後々のトラブルを防ぎ、スムーズな補修計画にもつながります。

売却によって固定資産税や維持費の負担を解消

空き家を処分する方法として、もっとも現実的なのは売却です。
固定資産税や修繕費を早期に解消でき、売却益を相続人で公平に分配できます。
また、専門業者や空き家バンクを利用すれば買い手と効率よくマッチングでき、立地によっては高値も期待できます。
名義確認と相続登記の完了は必須で、譲渡所得課税や仲介手数料も考慮しましょう。
そのため、諸費用を含めたシミュレーションで最終的な手取り額を把握しておくと安心です。
草刈りや簡易清掃を継続し物件の印象を保てば、値引き交渉を減らせ成約までの期間短縮にもつながります。
インスペクションを活用すれば、買い手に状態を正確に開示でき契約後のトラブルも防げます。

まとめ

相続した空き家は定期的な換気・通水・掃除などの日常管理を行うことで、劣化やトラブルを防ぐことができます。
長期間放置すると特定空家に指定される恐れがあり、所有者に対する行政からの指導や費用負担が発生します。
将来的なリスクを避けるためにも、解体・売却・譲渡などの対策を早めに検討しておくことが大切です。

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