不動産の売却益とは?売却益の計算方法や課される税金の節税方法を解説

不動産売却

不動産の売却益とは?売却益の計算方法や課される税金の節税方法を解説

不動産を売却して利益(売却益)が出た場合、その利益に対して所得税や住民税が課税されます。
税金は、不動産を売却した翌年に納めることになるため、事前にいくらぐらい税金がかかるかを知っておくと安心です。
本記事では、不動産の売却益とは何か、売却益の計算方法や節税方法について解説します。

不動産を売却したときの売却益とは?

不動産を売却したときの売却益とは?

不動産を売却するとき、多くの方が気になるのが「いくらで売れるのか」です。
そして、実際に売却が成立した際に把握しておくべきものとして「売却益」の考え方があります。
売却益とは、売却価格から購入時の価格や諸経費を差し引いた後に残る「売却によって得られた利益部分」を指します。
つまり、購入時より高値で不動産を売却できれば、その差額が売却益になるイメージです。
ただし、実際に売却益を算出する際は単純に「売った金額-買った金額」ではなく、譲渡費用や仲介手数料なども加味して計算する必要があります。
そうした費用を正確に計算し、適切に差し引くと、実際に得た利益を明確に把握できるのです。

不動産の売却益にかかる税金とは?

不動産を売却して利益(売却益)が出た場合、その利益には3種類の税金がかかります。
具体的には、以下の3つです。
住民税
お住まいの自治体(都道府県や市区町村)に納める地方税です。
都道府県民税と市町村民税を合わせたものを指します。
所得税
1年間に得た所得に対して国に納める税金です。
不動産の売却の場合、ほかの所得と分けて申告します。
復興特別所得税
東日本大震災からの復興のための財源として、2037年12月31日までの期間限定で課されている特別な税金です。
所得税に対して一定割合が加算されます。
これら3つの税金は、まとめて「譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)」と呼ばれています。
譲渡所得税は、不動産を売却して利益が出た場合に課される税金のため、しっかりと内容を理解しておきましょう。

不動産売却で利益が出たら確定申告が必要!

会社勤めの方の場合、通常は所得税や住民税は給与から天引きされる「源泉徴収制度」によって納税がおこなわれています。
そのため、普段は確定申告をしたことがないという方も多いでしょう。
しかし、不動産の売却益(譲渡所得)が発生した場合は確定申告が必要です。
譲渡所得にかかる税金(譲渡所得税)は、給与所得などと別に計算する「分離課税」の仕組みが適用されるため、自分で確定申告をおこなわなければなりません。
所得税・復興特別所得税は、確定申告の際に税額を計算し、原則として3月15日までに納付します。
住民税は、確定申告の内容をもとに、市区町村が税額を計算します。
5月~6月頃に送付される納付書を使って支払う流れです。
とくに、初めて不動産を売却する方は、確定申告の準備やスケジュールを事前に確認しておくことが大切です。

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不動産を売却したときの売却益の計算方法とは?

不動産を売却したときの売却益の計算方法とは?

不動産を売却する際は「いくら課税譲渡所得が発生するのか」を把握することはとても重要です。
なぜなら、売却益にかかる税金を見誤ると、最終的に手元に残る金額が大きく変わってしまうからです。
売却益の計算方法の基本的な考え方や、建物部分における減価償却費の取り扱い方について解説します。

売却益の計算方法

不動産を売却したときの売却益、すなわち「譲渡所得」を求める計算式は以下のとおりです。
譲渡所得(売却益)=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
譲渡価額とは、実際に売却した金額のことです。
取得費とは、不動産を購入したときの価格や手数料などを指します。
建物部分については、減価償却費を考慮する必要があります。
譲渡費用は、売却時にかかった仲介手数料、印紙税、測量費などです。
上記の計算式によって得られた金額が売却益となり、ここから特別控除などを差し引いた残りが最終的な課税譲渡所得になります。
課税譲渡所得の大きさによって納める税金が変わるため、まずはそれぞれの費用項目をきちんと洗い出し、正確に合計することが大切です。

建物の取得費と減価償却費

不動産の取得費を求めるうえで、とくに注意が必要なのが「減価償却費」です。
土地は、減価償却の対象にはなりませんが、建物は年数とともに価値が減少する資産とみなされます。
そのため、購入後の経過年数に応じた減価償却費を取得費から差し引いて計算する必要があります。
居住用不動産における減価償却費の計算方法は、以下のとおりです。
減価償却費=建物の取得価格×0.9×償却率×経過年数
償却率とは、建物が年数の経過とともに価値を失っていく割合を数値化したものです。
建物の構造や法定耐用年数に基づいて、次のように定められています。

●木造・合成樹脂造:0.031
●鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造:0.015
●金属造(骨組の厚さが3mm以下):0.036


経過年数とは、不動産を取得(購入)してからの年数を指します。
よく似た言葉に「築年数(建物が建てられてからの年数)」がありますが、償却率による計算では「取得してから何年経過したか」がポイントとなるため、混同しないよう注意しましょう。
もし、購入当時の内訳がはっきりしていない場合は、売買契約書や領収書、不動産会社の書類などを確認して、土地と建物それぞれの金額が分けられていないか再度チェックしてみましょう。
どうしても不明な場合は、税理士など専門家に相談することをおすすめします。

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不動産売却益にかかる税金を節税する方法とは?

不動産売却益にかかる税金を節税する方法とは?

不動産を売却して利益が出ると、譲渡所得税がかかります。
反対に、思ったほど利益が出ず「売却損」となってしまう場合もあるでしょう。
不動産を売却するときに活用できる節税のポイントと、損が出た場合に利用できる控除制度を解説します。

節税に役立つ特例制度

不動産売却益にかかる税金を抑えるためには、以下の特例を活用するのがおすすめです。
3,000万円の特別控除
居住用財産(自分や家族が住んでいた家や敷地)を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで差し引くことができる制度があります。
たとえば、売却益が3,000万円以内であれば、譲渡所得税がかからなくなるケースもあります。
ただし、適用には「親族への売却ではないこと」などの細かい条件があるため、事前に確認しましょう。
長期譲渡所得の軽減税率
不動産の所有期間が5年を超えると、「長期譲渡所得」として扱われ、税率が比較的低くなります。
さらに、10年以上所有している居住用財産であれば、より低い税率が適用されるケースもあるため、いつ売却するかのタイミングの見極めも重要です。
買い換え特例
居住用の不動産を売却して、新たに別の不動産を購入(買い換え)する際に要件を満たせば、一時的に課税の繰り延べを受けられる制度も存在します。
家族構成やライフスタイルに合わせて住み替えを検討している場合は、有効に活用できるでしょう。

売却損が出た場合に利用できる控除

不動産を売却して「売却損」が生じる場合、一定の条件を満たせば、その損失をほかの所得から差し引く形で税金負担を軽減する方法があります。
損益通算
居住用財産の売却において、損失が出た場合、一定の要件を満たせば、譲渡損失を給与所得などと相殺(損益通算)できる場合があります。
これにより、所得全体を引き下げ、結果として課税額を減らすことが可能です。
繰越控除
売却の年にすべての損益通算をしきれなかった場合は、翌年以降3年にわたって繰り越して控除を受けることができる制度です。
たとえば、初年度に差し引きしきれなかった譲渡損失を、翌年以降の所得から再び控除できると、長期的に税負担が軽減されます。

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まとめ

不動産の売却益とは、売却価格から購入時の価格や諸経費を差し引いた後に残る「売却によって得られた利益部分」を指します。
売却益の計算式は、「譲渡所得(売却益)=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」です。
売却益にかかる譲渡所得税を節税するには、3,000万円の特別控除や長期譲渡所得の軽減税率、買い換え特例の適用が挙げられます。


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