売却時に注意すべき点は?不動産の状況別対応についても解説

不動産売却

売却時に注意すべき点は?不動産の状況別対応についても解説

不動産を売却する際は、置かれた状況や目的によって重視すべきポイントが大きく異なります。
とくに、「仲介」と「買取」では手続きや所要期間、最終的な売却価格にも違いが生じやすくなります。
さらに、相続や離婚などの事情が関係するケースでは、法律や手続きへの正しい理解が重要です。
この記事では、不動産売却における代表的な注意点を3つの視点から詳しく解説していきます。

不動産を売却するときの仲介と買取の違い

不動産を売却するときの仲介と買取の違い

仲介と買取では、手続き・期間・価格が大きく変わります。
そのため、自分に合った売却方法を選ぶためには、それぞれの違いを正しく理解しておくことが重要です。
以下では、不動産を売却する際の仲介と買取のそれぞれの違いについて、詳しく解説していきます。

買主が違うことで生じる売却方法の差

仲介は不動産会社が媒介となり一般の買主を探すため、広告活動から成約まで、数か月かかる場合もあります。
対して買取は、不動産会社が直接買主となるので、査定後すぐに契約へ進み、最短数日で現金化できる点が特徴です。
例として、都内マンションは平均3か月で成約、一戸建ては5か月程度などがあります。
また、仲介では、買主の希望条件に合わせた価格交渉が必要になり、チラシやインターネット広告で物件の魅力を伝える工夫も求められます。
一方、買取では現況のまま引き渡せるため、修繕やクリーニングの費用をかけずに済む点がメリットです。
なお、仲介では手数料が成功報酬として発生しますが、買取では不要となります。
さらに、固定資産税や管理費の負担期間も売却完了まで長くなる点は、仲介固有の注意点です。
そのため、早期売却を優先するなら買取が有力な選択肢です。

内覧対応の必要性とその負担

仲介では内覧が欠かせず、売主は清掃や日程調整などの準備が必要になります。
とくに、居住中の物件では生活への影響が大きく、手間と時間がかかります。
売却効果を高めるには、家具配置を整えるホームステージングや、個人情報が写らないよう配慮するといった細かな対応も必要です。
また、防犯上の観点から、貴重品の管理や訪問者記録のチェックを徹底することも重要になります。
さらに、室内の臭い対策や照明の明るさ調整も印象を左右します。
平日夜間や休日など、買主の都合に合わせて複数回対応するケースもあるでしょう。
なお、買取なら査定のみで完了するため、内覧に伴うストレスは発生しません。

売却価格に差が出る理由

仲介は、市場で幅広く買主を募るため、需要次第では相場に近い価格で売却でき、競合が起きれば価格が上がることもあります。
一方で、買取は再販を前提に利益を見込むため、査定額は相場の7~8割が一般的です。
築25年超の場合、買取との差が1~3割以上開くケースもあります。
また、買主が決定したあとに、リフォーム費用が発生する可能性も考慮されるため、買取価格はやや抑えられるでしょう。
さらに、買取業者は築年数や立地、再販需要を厳密に査定し、解体が必要な場合はその費用を差し引いて提示します。
築古や事故物件など市場で買い手を見つけにくいケースでは、買取を利用することでリスクを回避できます。
なお、価格を重視する場合は仲介、期間や手間を重視する場合に向いているのは買取です。

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離婚で不動産売却をする場合の注意点

離婚で不動産売却をする場合の注意点

離婚時の不動産売却は、感情面だけでなく法的手続きにも注意が必要です。
以下では、離婚時の不動産売却に関する取扱いや注意点について詳しく解説していきます。

財産分与と売却益の取り扱い

売却益は、原則として夫婦で半分ずつ分配しますが、居住用財産の3,000万円特別控除など税制優遇の有無を確認しておくことが大切です。
譲渡所得税は、所有期間が5年を境に税率が変わるため、売却時期の調整で負担を軽減できる場合もあります。
また、共有名義の住宅を売却せずに一方が住み続ける場合、持分買取やローン引き継ぎの方法も検討材料です。
そのため、将来の居住先や子どもの学区変更などライフプランも含めて検討することで、納得のいく分割がしやすくなります。

物件名義の確認と変更手続き

登記事項証明書で名義を確認し、共有の場合は双方の合意を得たうえで、所有権移転登記をおこないます。
また、手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、離婚協議書や財産分与契約書を添付して正当性を証明します。
さらに、手続きに必要な登録免許税は、固定資産評価額の0.4%が目安で、書類不備があると再提出が必要なため注意しましょう。
なお、名義変更が完了しないと金融機関から抵当権抹消書類を受け取れず、取引が停止するリスクがあります。

住宅ローンの残債と責任の分担

連帯債務や連帯保証が残ると離婚後も返済義務が続くため、金融機関と協議して債務者変更や保証解除を検討します。
金融機関は、毎月の生活費も合わせて審査します。
なお、返済が困難な場合は、任意売却やリースバックを併用するのもよいでしょう。
また、返済負担率が高いとローン借り換えが難しくなるため、早期にシミュレーションをおこなうことが重要です。
さらに、売却後に残債が生じる場合は、オーバーローン分を現金で補填するか、無担保ローンへの借換えが必要になります。

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相続物件を不動産売却する際の注意点

相続物件を不動産売却する際の注意点

相続不動産の売却は、法的手続きと税務対応が欠かせません。
以下では、相続物件を不動産売却する際の注意点について詳しく解説していきます。

遺産分割協議が売却の前提となる

相続人全員で遺産分割協議をおこない、内容を協議書にまとめて署名押印します。
また、未成年の相続人がいる場合は、家庭裁判所の許可が必要になるなど、手続きが複雑化します。
さらに、協議が長期化すると固定資産税や維持管理費がかさむため、早期の合意形成が経済的メリットにつながるでしょう。
なお、合意形成が困難なら早めに専門家へ相談しましょう。

相続登記の完了が売却の条件

戸籍謄本や評価証明書など必要書類を用意し、法務局で相続登記を済ませてから売却手続きを進めます。
また、2024年4月からは相続登記が義務化されたため、放置すると罰則を受ける点にも注意が必要です。
申請後は、登記完了まで通常2週間程度を要し、完了後に登記識別情報が発行されます。
さらに、建物未登記や地目変更が必要な場合は追加の測量や申請が発生し、時間と費用が増える点に注意しましょう。
なお、登記後は固定資産税の減免申請が可能となっています。

譲渡所得税や相続税などの税金問題

相続税の基礎控除は、「3,000万円+相続人の数×600万円」で計算され、譲渡所得税には取得費加算の特例が適用できる場合があります。
売却益が出た場合は確定申告が必要になり、申告期限は売却の翌年の2月16日~3月15日までです。
小規模宅地等の特例を併用することで、負担を軽減することもできるでしょう。
また、親から取得した土地建物を相続開始後3年以内に売却すると、長期譲渡の税率でも特例が適用され軽減されます。
さらに、住宅用地として10年以上所有した物件は、所有期間区分にかかわらず軽減税率の対象外となるため確認が必要です。
売却計画を立てる際は、手続き・税金・スケジュールを一覧表にして整理するとスムーズです。
とくに、譲渡所得税は、売却益が多額になると翌年の住民税や国民健康保険料にも影響するため、資金計画に余裕を持たせると安心です。
このように、準備とスケジューリングを早めにおこなうことで、余計なコストやトラブルを減らせます。
なお、不動産会社、司法書士、税理士など関係者との連携を密にし、情報を共有することも成功の鍵です。

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まとめ

不動産売却では、状況や目的によって適した方法や注意点が異なるため、事前に全体像を把握することが重要です。
仲介と買取の特徴を比較し、自分の事情や希望に応じた売却方法を選ぶことで、満足のいく結果につながります。
離婚や相続などの特別なケースでは専門家の支援を受け、スムーズかつ安全に売却を進める体制を整えましょう。

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有限会社井尻興産

紀の川市に根ざした地域密着の視点で、不動産に関する幅広いご相談に誠実に対応しています。
長年の建設業で培った経験と、地域を知り尽くした不動産の専門知識を融合させ、お客様にご満足いただけるサービスを提供。
不動産の購入からリフォーム、アフターフォローまで、ワンストップで末永くお付き合いいただけるパートナーを目指します。

■強み
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・建設業の経験を活かした専門的な視点
・LIFULL HOME'S 優良店認定の信頼性

■事業
・不動産売買仲介
・注文住宅
・リフォーム・リノベーション


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