不動産売却で消費税が課されるケースは?非課税となるケースも解説!

不動産売却

不動産売却で消費税が課されるケースは?非課税となるケースも解説!

不動産を売却するとき、消費税がかかるのかどうかが気になるポイントのひとつではないでしょうか。
不動産売却時に発生する費用のなかには、課税対象のものと非課税のものがあるため、違いをしっかりと押さえておくことが大切です。
そこで今回は、不動産売却時に消費税が課されるケースと非課税のケース、不動産を売却するときの注意点について解説します。

不動産売却時に消費税が課税されるケース

不動産売却時に消費税が課税されるケース

不動産売却に関連するすべての取引が消費税の対象になるわけではありませんが、特定の条件下では消費税が発生します。
まずは、不動産を売却するときに消費税が課されるケースを見ていきましょう。

課税対象①仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼して不動産を売却するときには、仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は消費税の課税対象であり、その上限額は宅地建物取引業法で定められています。
たとえば不動産を3,000万円で売却したとすると、消費税を加えた以下の仲介手数料を不動産会社に支払わなければなりません。
(3,000万円×3%+6万円)×1.1(消費税)=96万6,000円
仲介手数料は売買契約締結時に半分、物件引き渡し時にもう半分を支払うケースが一般的なので、いくら用意すれば良いのかを事前に確認しておきましょう。

課税対象②一括繰り上げ返済手数料

原則として、住宅ローンが残っている不動産は完済しないと売却できません。
通常は、不動産の売却金額でローンを完済する形となりますが、そのときに金融機関へ支払う一括繰り上げ返済手数料にも消費税が課されます。
たとえば、一括繰り上げ返済手数料が3万円に設定されているケースでは、消費税を合わせて3万3,000円支払う必要があります。
金融機関やローンの組み方によって、一括繰り上げ返済手数料は異なるため、事前に確認しておきましょう。

課税対象③司法書士報酬

住宅ローンが残っている不動産を売却するときには、抵当権抹消登記の手続きを法務局でおこなう必要があります。
これは重要な手続きであり、ミスなくおこなうためにも司法書士に依頼するケースが一般的です。
司法書士に抵当権抹消登記の手続きを依頼すると、登録免許税に加えて報酬を支払う必要があります。
この司法書士に支払う報酬も消費税の課税対象のため、注意しましょう。
司法書士報酬は5,000円~2万円が相場ですが、消費税を合わせて5,500円~2万2,000円を支払うことになります。

不動産売却時に消費税が非課税となるケース

不動産売却時に消費税が非課税となるケース

一方、不動産売却時に消費税が課されないケースもあります。
ここでは、どのようなケースで消費税を納めなくて良いのかについて見ていきます。

非課税となるケース①土地の売却

不動産のうち、土地部分の売却については消費税が課税されません。
これは「土地は消費するものではない」とする考え方に基づいており、消費税法で非課税取引として定められています。
そのため、土地付きの一戸建てを売却するケースでは、建物部分には消費税が課されるものの、土地部分には課税されません。
売却価格の内訳を確認し、税務処理を適切におこなうことが大切です。

非課税となるケース②事業者ではない個人が売却する建物

個人が自己の居住用不動産を売却するケースでは、建物部分であっても消費税は課されません。
なぜなら、消費税は事業者がおこなう取引に対して課税されるためです。
たとえば、一般の個人が自宅を売却するとき、売主は事業者ではないため、建物の売却価格には消費税が含まれません。
そのため、買主にとっては、不動産会社などの事業者から不動産を購入するよりも、消費税分お得に取得できるメリットがあります。

個人でも消費税が課税されるケース

基本的に個人の不動産売却は非課税ですが、例外として不動産業を営んでいる個人事業主が事業用資産として売却するときは、建物部分に消費税がかかることがあります。
たとえば、個人事業主として賃貸アパートを運営しており、そのアパートを売却するときには売却行為が事業の一環とみなされ、消費税の課税対象です。
ただし、不動産の売却益に対して課される譲渡所得税や登記時に支払う登録免許税、売買契約書に課される印紙税には消費税は課されません。

不動産売却時の消費税に関する注意点

不動産売却時の消費税に関する注意点

不動産を売却するときには、消費税に関する以下の点に注意しておくと、予期せぬトラブルを防げます。
不動産売却時における消費税について、押さえておきたい注意点を見ていきましょう。

注意点①売却価格に消費税が含まれているか確認する

不動産の売買契約を締結するときには、売却価格に消費税が含まれているのか明確にすることが重要です。
なぜなら「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」により、不動産の価格は税込みで表記するように定められているからです。
また、消費税が課されるタイミングは不動産を引き渡すときであることも、注意点として押さえておきましょう。
引き渡しの前に消費税率が改正されたときには、新しい税率が適用されることになります。
不動産の売買時には、数パーセントの税率の違いで取引金額が大きく変わるため、トラブルを避ける意味でもしっかりと把握しておくことがポイントです。

注意点②法人が売主のときには建物価格に消費税が課される

法人が不動産を売却するときには、建物部分の売却価格に対して消費税が課されます。
法人が所有する投資用マンションや事業用不動産を売却するときには、買主が支払う総額に消費税が含まれているかを事前に確認しておきましょう。
なお、課税事業者であっても、自宅や別荘、セカンドハウスなどの居住用不動産を売却するときには消費税が非課税となります。

注意点③免税事業者は前々年の課税売上が1,000万円未満なら非課税

個人事業主が投資用不動産を売却するときには、建物部分に対して消費税が課されます。
しかし、年間売上が1,000万円未満の免税事業者には、消費税の納税義務がありません。
なお、個人事業主が課税事業者となるかどうかは、前々年の課税売上が1,000万円を超えているか、その年の前年の1~6月の売上が1,000万円を超えていて給与支給額が1,000万円を超えているかで判定されます。

注意点④消費税を納付する

不動産売却時に課される消費税について、個人事業主は不動産売却年の翌年3月末日までに税務署へ申告して納付します。
法人では、課税期間の末日の翌日から2か月以内が消費税の納付期限となっています。
ただし、直前の課税期間内の消費税額が48万円を超えていると、中間申告や中間納付をしなければなりません。
たとえば、課税事業者が直前の課税期間内に建物を480万円以上の価格で売却したケースでは、消費税が48万円以上課されているので中間申告・中間納付が必要です。
中間申告・中間納付が必要であるにもかかわらず義務を怠ると、加算税や延滞税といったペナルティが課されるおそれがあるため注意しましょう。
なお、消費税は窓口で直接納付する以外にも、口座引き落としやコンビニエンスストア払い、クレジットカード決済などの方法で納めることも可能です。

まとめ

不動産の売却時における消費税の課税対象には、不動産会社へ支払う仲介手数料、金融機関へ支払う一括繰り上げ返済手数料などがあります。
一方で、土地は非課税対象であることに加え、個人が売主として自宅を売却するときにも消費税は課されないことを押さえておきましょう。
また、不動産売却時には売却価格は税込みで表記する、法人が売主のときには建物部分に消費税が課されるなどの注意点を押さえておくことが大切です。


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