不動産売却におけるインスペクションとは?メリットや費用も解説

不動産売却

不動産売却におけるインスペクションとは?メリットや費用も解説

不動産のインスペクションは、専門家が建物の状態を調査することです。
調査は、建物の構造や雨水防止部分に重点を置いておこなわれます。
インスペクションは、瑕疵担保保険の要件を満たすために必要で、2020年の民法改正以降、不動産売買での活用が増えました。
この記事では、不動産売却におけるインスペクションとはなにか、インスペクションのメリット、費用などをわかりやすく解説します。

不動産売却におけるインスペクションとは?

不動産売却におけるインスペクションとは?

不動産売却時のインスペクションとは、建物の状態を事前に調べ、劣化や欠陥の有無、修繕が必要な箇所を明確にすることです。
これにより、買主は安心して中古住宅を購入できるだけでなく、売主は売却後の契約不適合責任を軽減できるため、安心して売却できるメリットがあります。
売却活動をスムーズに進めるためにも、インスペクションを早めに実施し、必要に応じて修繕をおこなうことが重要です。

不動産インスペクションの目的

インスペクションの主な目的は、売却前に建物の状態を把握し、買主に対して物件の信頼性を示すことです。
また、売主は瑕疵担保責任に伴う損害賠償リスクを減らし、売却後のトラブルを回避できます。

「既存住宅インスペクション・ガイドライン」について

2013年に国土交通省が策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」は、インスペクションの基準を示し、具体的な検査項目や方法が定められています。
また、2018年には「改正宅地建物取引業法」により、インスペクションの説明や斡旋(あっせん)が義務付けられました。
既存住宅売買瑕疵保険
インスペクションは「既存住宅売買瑕疵保険」に加入する際に必要です。
この保険は、万が一売却した物件に欠陥があった場合、売主が負担する損害を補償します。
これにより、買主は安心して購入でき、売主も瑕疵担保責任に基づくリスクを軽減できます。

インスペクションの実施タイミング

インスペクションは、不動産売却の査定前、できれば売却査定前に実施するのが理想です。
なぜなら、インスペクションの結果により査定額が変動する可能性があるからです。
インスペクション実施前の流れ
まず、不動産会社に査定を依頼し、売却方針を決定した後、媒介契約を結びます。
その後、インスペクションを依頼します。
媒介契約時に不動産会社からインスペクションの説明を受け、必要ならばインスペクターを手配してもらいます。
インスペクションの結果が合格であれば、そのまま売却活動を進めます。
不合格の場合、修繕をおこなうか、価格見直しを検討する必要があります。修繕後に再度インスペクションを実施することをおすすめします。

不動産売却前にインスペクションをするメリット

不動産売却前にインスペクションをするメリット

不動産売却を検討している場合、インスペクション(建物の事前調査)を実施することには多くのメリットがあります。
売主にも買主にも有益な点が多く、スムーズな売却を進めるための重要な要素です。
また、物件の価値向上や売却後のトラブル防止にもつながるため、インスペクションは売却をスムーズに進めるための重要なステップです。
続いては、その具体的なメリットを解説します。

メリット①買主が安心し、早く高く売れる

インスペクションを実施した物件は、買主にとって安心できる選択肢となります。
調査を受けて合格した建物は、隠れた問題がなく、購入後のリスクも少ないため、買主は不安なく購入することができます。
この安心感が、物件の早期販売と高額売却につながることが多いです。
実際、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の調査によれば、インスペクションを実施した物件では「希望価格で売れた」「買手が早く見つかり、売却がスムーズに進んだ」といった結果が多く報告されています。

メリット②売主が安心して売却できる

インスペクションをおこなうことで、売主も安心して物件を売却できます。
建物の状況が明確になるため、契約時に不安要素が減り、売却後のトラブルを避けることができます。
契約不適合責任が課せられた現代の不動産取引において、インスペクションを実施することで、売主は建物の状態を事前に確認し、契約書にその情報を記載することが可能です。
これにより、売主は不適合責任を負うリスクが軽減されます。

メリット③瑕疵担保保険に加入できる

インスペクションを受けることにより、既存住宅売買瑕疵保険(瑕疵担保保険)に加入できるという大きなメリットもあります。
瑕疵担保保険は、万が一物件に瑕疵が発見された場合、買主の負担を軽減する保険です。
この保険に加入するにはインスペクションを合格することが条件となっており、保険がつくことで物件に付加価値が加わり、さらに高く売れる可能性があります。

メリット④売却後のトラブルを防止

インスペクションを実施することで、物件に隠れた問題を事前に発見し、売却後のトラブルを未然に防ぐことができます。
たとえば、雨漏りやシロアリの問題などがあらかじめ把握できれば、修繕や価格調整をおこなうことで問題を回避できます。
調査をしないで売却した場合、後にトラブルが発生するリスクが高まりますが、インスペクションを受けておけば、問題があった場合でも買主にその内容を説明し、納得のうえで取引を進めることができるでしょう。
買主が問題を承知したうえで購入すれば、後々の責任問題を避けることができます。

不動産売却前のインスペクションにかかる費用と実施者

不動産売却前のインスペクションにかかる費用と実施者

不動産売却前にインスペクションを実施する場合、費用や実施者について気になる方も多いでしょう。
インスペクションは専門的な調査をおこなうため、費用が発生しますが、その相場や内訳について詳しく解説します。
また、インスペクションを実施するのはどのような人物かについても説明します。

インスペクションの費用相場

インスペクションの費用相場は、一般的に5万円から7万円程度です。
ただし、調査内容や使用する機材によって費用が異なります。
たとえば、機材を多く使用する詳細な診断の場合、10万円以上かかることもあります。
また、床下や天井裏のオプション診断を依頼する場合、追加で1万5,000円から3万5,000円程度の費用がかかることがあります。

インスペクションの費用内訳

インスペクションにかかる費用は以下の項目に分かれます。
ホームインスペクターの費用
実際にインスペクションをおこなう専門家の人件費です。
交通費
調査現場への出張費用です。現地の状況により、駐車場代が別途発生する場合もあります。
調査機器の使用料
使用する調査機器の費用で、機器の寿命に影響を与えるため、オプションで高額な機器を使う場合は追加費用が発生します。
目視での調査が主の場合、機器費用はほぼ発生しません。
報告書作成の事務コスト
調査結果をまとめた報告書を作成する費用です。
紙代やインク代、郵送費などが含まれ、詳細な報告書を求める場合、5,000円から1万5,000円ほどの追加費用がかかることがあります。
事務スタッフのコスト
事務スタッフがいる場合、そのコストも含まれます。
小規模な事務所ではこの部分が比較的安くなることがあります。
広告宣伝費など
業者が広告やホームページの運営にかけた費用が、最終的にインスペクション費用に上乗せされることがあります。

インスペクションを実施する人物

インスペクションをおこなう専門家は、国の登録を受けた「既存住宅状況調査技術者」です。
この技術者は、インスペクターとも呼ばれています。
インスペクションの内容は、既存住宅状況調査方法基準に基づいておこなわれます。
インスペクションの費用負担は、売主が実施する場合は売主負担、買主が実施する場合は買主負担となります。
どちらが実施依頼するかは自由ですが、売主が事前にインスペクションをおこなう場合、買主の承諾が必要です。

まとめ

不動産売却時のインスペクションは、建物の状態を調査し、欠陥や修繕箇所を把握することで、買主に安心感を与え、売主はリスクを軽減します。
これによりスムーズな売却と高額取引が実現します。
費用相場は5~7万円で、瑕疵担保保険にも加入可能です。


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